靖國神社「みたままつり」2023 揮毫雪洞
Paper lantern in Mitama Festival 2023
「大恩人」2023年制作
2023年6月19日
今年の靖國神社みたままつり(7/13〜16)に奉納する雪洞(ぼんぼり)の下図を描き始めました。
昨年の丁度今日、陸軍中将樋口季一郎氏の功績を、お孫さんの樋口隆一さんを始め、複数のパネリストから伺う講演会に参加し、一年前から来年のみたままつりで紹介、讃える軍人として、この方の肖像画を描こうと決めてました。
文章内容や肖像画の印象について問題が無いか、
樋口隆一さんに画像を送り、お伺いを立てて、お返事待ちなので、現段階ではボカした写真しか投稿出来ません。
帝国陸軍の軍服や軍帽は、写真だけでなく、実物を取材しに行ったほうが、自信を持って本画制作に移れると考え、靖國神社内にある戦争資料館「遊就館」を訪れる事にしました。
みたままつりで献灯を吊るす櫓が、もう組まれ始めていて、制作を急かされるプレッシャーを感じました。
遊就館取材の前に、先ずは本殿に参拝。
売店や食堂も設置されてる一階ロビースペースは、入館無料で撮影も自由に出来ます。
有料(一般1,000円)の展示スペースの順路は2階からスタートします。
遊就館内の展示物のほとんどは撮影禁止ですので、今日は出掛ける前に
「みたままつりで奉納する雪洞制作の参考にしたいので」と、電話で目的を伝え、撮影許可証を用意しておいて貰ました。
撮影可能な展示スペースは、この部屋だけです。
撮影禁止スペースで撮影した写真は、自分の制作資料としてのみ使い、SNSには載せません。
軍帽は何故か帝国海軍の物がほとんどで、
帝国陸軍の状態の良い軍帽は1点のみ(今回の絵の参考にはならないほどボロボロになった軍帽が1点)。
空軍の軍帽は無しでした。
(今回の取材には直接関係しませんが、何故、海軍の軍帽だけが沢山収蔵されてるのか、その理由も知りたくなりました)
とりあえず、本画制作前に陸軍将校の軍服と軍帽が1点だけでも直接観られ、写真も撮れて収穫ありました。
大展示室に、毎年みたままつり奉納雪洞常連で、一年前は遊就館ギャラリーにて個展もされた
鉛筆細密画家菅野泰紀さんの作品も常設展示されてました。
2023年6月30日
今年のモデルはこの方です。
この本の著者、中将のお孫さん樋口隆一様に、偉業を紹介する文章の校正を下図段階で見て頂き、修正してから本画に取り組みました。
本の表紙の樋口季一郎陸軍中将の表情は、やや緊張してるのか、本の中身に沢山挿入されてる他の写真よりも、硬い表情に感じました。
樋口隆一著
「陸軍中将樋口季一郎の遺訓」より。
著書に挿入された沢山の写真を見て、この写真の表情の方が、表紙に使われてる写真より、普段の中将の印象に近いのではと推察し、
軍服、軍帽は表紙と、遊就館での取材を参考に、
お顔の印象はこちらの写真を参考に描いてます。
絵よりも、字の方が自信が無いので、先に紹介文から書きました。
肖像画同様、左右に書いた紹介文も、本紙の裏から透けて見える字を頼りに書いてます。
字を書くための濃墨を少し薄めて、透けて見える下図を頼りに輪郭線をトレースします。
別の真っ白な紙の上に本紙を張り替えて、濃淡の具合を確認しながら描いていきます。
落款(サイン)を入れる場所には、軍服の墨を塗らずに空けておきます。
本日の最終段階です。
本当は今月中に靖國神社へ届けなきゃいけなかったのですが、今年は数日〆切を越えてしまいます。
m(_ _)m
瞼を描いたら、墨が滲んでマスカラを塗ったみたいになってしまいましたので、一晩乾かして、細部描写の仕上げは明日に持ち越します。
2023年7月1日
「大恩人」完成しました。
肖像画部分アップです。
白い紙を張ったパネルから剥がし、落款の位置を透かして見るため、再び下図の上に貼り直します。
落款を入れて完成。
墨が完全に乾くまで土日は、このまま乾かして、来週の月曜に靖國神社に送ろうと思います。
2023年7月2日
仮貼りしてたマスキングテープを、和紙の毛羽立ちに気をつけて慎重に剥がしました。
画に同封する題名と作者名。
北海道出身の僕にとっては、まさに大恩人とも思える偉人です。
靖國から雪洞用の和紙が送られてきた時の、巻物に挟んで
丸めて送り返します。
2023年 靖国神社「みたままつり」では、雪洞としてこのように掲揚されていました。