連合国の三悪人
Three villains of Allies
さる親しい同志の方からのご依頼で、その方が出版予定の本の表紙絵の原画を描きました。
絵の題材や表現方法は、完全に僕に一任させて頂きましたが、本の内容の概略をお聞きして、いかにも悪人ヅラの、この御三方の肖像画を描く事にしました。
今まで肖像画を描く時は、モデルとなる方の一番良い表情を見極めて、より美しく、若く、親しみやすく描いてきましたが、今回はネット画像から、最もワルそうな写真を選んで描くという、普段とは真逆の制作姿勢で臨みましたが、これが意外に面白く、ノリノリで筆が進みました😆
Take1〜Take3
一番最初はこの構図で下図を描き始めました。
Take2 は、3人の顔のアップで描き始めましたが、
チャー○ルの顔が童顔で、あまり悪そうに見えないなぁ〜と感じ、ネットで、もっと悪人ヅラの写真が見つからないかな~と、検索し直しました。
マフィアのボスみたいな写真が見つけられましたので、3枚目の紙にTake3として描き始め、顔から着彩し始めたのが、この写真になります。
僕は、掛軸とか厚塗り修正不可能な作品を描きます。
日頃から、本画に入ってからの構図や形の変更が出来無い事を前提に、下図段階で画面構成や描写を完璧にする習慣が身についてます。
デジタルシミュレーション
衣装も彩色したところで、この段階の写真をPCに送信し、
PCの画像加工ソフトにて、どんな背景色が合うかシミュレーションしてみます。
今回は水彩画ですので、水彩の美しい発色を活かすためには、本画上での色の迷い、変更は避けたいからです。
ちなみにこのデジタルシミュレーションでは、背景がのっぺりしたブルーグレーにしか見えませんが、濃度50%の黄土色と、濃度50%の白群をレイヤーで重ねるシュミレーションをしました。
重色
シミュレーション通り、先ずは黄土色を塗ります。
その上に水彩絵具で作った白群を重色します。
比重の異なる日本画の岩絵具と違い、水彩絵具同士なら、黄土色と白群とを混色しても分離しませんので、この2色を混ぜて塗ることも可能です。
でも、混色してしまうと、PCでのシミュレーションの様に、のっぺりとした変化に乏しい背景になってしまいます。
印象派の点描のように、混色せず、一層目の色と2層目の色と、それぞれ分けて重ね塗りしたほうが、それぞれの色の特長が相殺されることなく発色し、まだら状のマチエール(絵肌)も味わい深く出てきます。
僕は混色せずに重ね塗りすることは、音楽でのハーモニーの美しさと同様だと思ってます。
それぞれの楽器の音色や、それぞれのパートの声が合わさってこそ、より美しい音に聴こえるように。
完成
背景を塗り終わってから、あらためて、背景よりも人物が映えるようにバランスを見ながら、顔や衣装の彩色を重ね仕上げます。
最後に、構図的に背景の天地の面積のバランスを取るため、上を3センチくらい切り取り、横長の画面にして出来上がりです。
額は、いぶし銀、マットは思い切って黒を選びました。
裏に題名と制作年、落款を入れた共シールを貼ります。