「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON

辰年を迎え、自らの画業も昇り龍になるよう祈願も込め、
「鯉の滝登り」から「昇り龍」に変身、出世するHidden Art「登龍門」が閃きました。



2024年1月31日

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

山梨県身延町の紙漉き見学体験モニターツアーにご招待された時、山十製紙さんから頂いた「甲州西嶋手漉き画仙紙」を使って下図を描き始めようと思います。

信玄公のご利益にもあやかれそうで益々縁起が良く感じられます!

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

画仙紙の折り癖を反対側に折ったりして伸ばします。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

やや青味掛かった松煙墨を薄く擦ります。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

更に水を足し

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

掻き混ぜて、極薄の墨汁にします。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

小、中学生の頃、書き初めの為に使ってた太い筆を、いつか日本画で使う時が来るかもしれないと思い、実家から持ってきてありました。

日本画、水墨画の為に、この筆を使うのは長い画業でも初めてです。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

粗品で頂いた吸水性の悪いタオルを下敷きに使います。
バスタオルとしては使用感が劣っていましたが、吸水性の悪さは汚れが着きにくい長所として、水墨画制作時の下敷きとしては最適です(笑)。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

一枚目。

昇り龍としての勢いを出したかったので、下図の一筆目は一筆描きで一気にアタリをつけようと考えた訳です。

一筆目は、蛇みたいに見えます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

二枚目。

今度は途中でグルンと一回転させて、拡がりが出るようにわざといったん画面の外にはみ出るように描いてみました。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

三枚目。

一枚目と同じに蛇行の動きですが、よりうねりを大きくしました。

更に二筆、三筆と描き加え、太さを加えたら龍っぽくなりました。

こちらをアタリとして、下図制作に使うことにしました。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

カーテンレールに洗濯バサミで吊るして干します。

乾かしてる間に夕食の買物に行きます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

一枚目、二枚目の試作品も干しておきます。

今後、墨の濃淡や滲み具合の試し描きなどに使えると思います。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

完全に乾くと、ほぼ無色になりました。

薄墨の色でアタリが確認出来るというよりは、いったん水分を含んで皺になる事で、この上に描いていく龍のガイドラインになってくれそうです。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

「化仏 不動明王〜大日如来」制作の為に特注で作ってもらった木製パネルの上に置き、パネルの長辺の長さに合わせ、画仙紙の余分を断ち切ります。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

マスキングテープにて天地をパネル側面に留めます。

パネルの左側に寄せて貼ったのは、絵の左横に座って、右手を伸ばして横からも描きやすくするためです。

制作に当たっては常に先々の工程もイメージしながら進めていきます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

表の絵の「鯉の滝登り」から描いていきます。

ネットから拾ってスクショした写真をプリントアウトして参考にさせて頂きます。

鯉の滝登りと、その後成長した龍とを組み合わせた縁起物の掛軸は日本画定番の題材ですが、

僕の Hidden Art では、明るい時は「鯉の滝登り」で、暗くすると「昇り龍」に変身し、鯉は龍の尻尾の中に隠れて見えなくするつもりです。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図

アタリを付ける時とは一転し、今度は鉛筆で下描きをしてから描いていきます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

僕は藝大に入学して以降、絵画制作は理系だなと実感しました。

学科で熱心に履修したのも
・美術解剖学(中尾先生)
・(絵具の)化学
・色彩心理学
・生物(三木先生)などでしたし。

画面の縦横比率を決めたり、構図のバランスを図ったり画面配置を分割するのは数学的だと思いました。

また、学生アルバイトから始めた美大進学予備校講師として、精神論だけでなく、パース(遠近法)や、美しく発色させるための彩色方など、理論的に分かりやすく生徒たちに伝える能力も発達し、それが翻って自分の制作にも活きてます。

高校生までは、白隠禅師などのお坊さんや、一茶、蕪村などの文人画家もいらっしゃいますから、絵は、なんとなく文系の情緒が必要かと思ってましたが、少くとも僕自身の画家として制作に役立つ能力は、観察力、分析力、計画性、発明、発見など、理系的な才能と研究に根ざしてると実感してます。

前置きが長くなりましたが、鯉(や龍)の鱗の配列パターンも僕は滑らかに整然と描きたいタイプなんです。

そこで、いきなり墨で描かず、鉛筆で鱗の配列パターンのガイドラインを描き、修正しながら整えていきます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

鉛筆でのガイドラインがある程度整ったら、薄墨でなぞり定着させます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

薄墨で定着させた斜めにクロスさせた線が乾いたら、和紙が毛羽立たない程度に優しく練りゴムを使い、縦に揃わせるガイドラインは消します。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

薄墨のガイドラインは、まだ直線的な菱形の配列に過ぎません。

もう一つのポイントは、背中のハイライト部分は、光って見えるよう、濃墨で骨描きしないように、光らせるつもりの範囲を鉛筆で印を描いておきます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

菱形のガイドラインの上に、濃墨にて扇形にして描き、鱗にしていきます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

それぞれの鱗を隈取りし、

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

全体的にも隈取りを加えます。

本日はこれでおしまいにします。


2024年2月10日

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

蓄光顔料で描く隠し絵の龍を、表の下図に重ねて描き始めました。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 参考資料 ブルース・リー

題名の英語訳はブルース・リーの
「ドラゴンへの道」から拝借しました。

ちなみに僕の絵に込める信条の一つが「燃えよドラゴン」での
“Don’t think. feel ! ” 考えるな、感じろ!
ってセリフです。

屁理屈こねたウンチクで価値をゴリ押しする絵は、嫌いです。
僕は絵や音楽は、観た瞬間、聴いた瞬間、本能的に伝わるものが本物だと思ってます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 参考資料 スピノサウルス

龍の顔は、今回はスピノサウルスに似せて描こうと思います。イラストは、昔同じ画廊に所属していた
小田隆さん(背景付き)他、
小学館の図鑑NEO 「恐竜」も参考に描いてます。

もちろん自筆の「雲龍図」も参考にしてます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 「ジュラシック・パークⅢ」

スピノサウルスは、「ジュラシック・パークⅢ」で主役の恐竜として登場しました。

この映画では、ティラノサウルスと陸上で闘うシーンがありますが、本来は陸上よりもむしろワニの様に水棲だったのではないかと推察されてます。

久し振りにこのDVDも観て、龍の顔の参考にしようとしようと思います。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

宝玉を持った前脚は、自分で姿見の前で野球の球を持ってポーズして自撮りしたものを参考に描きます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

後ろ足は、「雲龍図」の時もそうしましたが、
コモドドラゴンの写真を参考に描きます。

(株)日本メール・オーダー社発刊
「アニマルライフ」デラックス版
「動物の世界」より

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

同じく
(株)日本メール・オーダー社発刊
「アニマルライフ」デラックス版
「動物の世界」より

鹿の写真をスキャンし、左右反転させて拡大、ひっくり返して、龍の角の参考に描きます。

僕は写実的な描写が持ち味なので、空想の動物でも、現実に存在する動物を参考に描きます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

鯉の鱗を延長させながら、龍の鱗を描き乗せて行く為のガイドラインのアタリをつけていきます。 

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 鯉の滝登り

竜巻(トルネード)するように上昇する様に描こうと思います。

なかなか過去の作品に無かった動きのアイディアだと思います。

定番の画題だからこそ、自分独自の表現を加えたいと思います。

こういうアイディアは、制作してないリラックスした時間にこそ思いつきます。

クリエイターは、傍から見ればボ〜っとしてるか、怠惰に飲んだくれてる時間にこそ閃きます。

少くても僕は、集中とサボりの OnとOff との切り替えを繰り返す事が、閃きの秘訣だと実感してます。

決してひたすら描き続ける「見た目も努力家」ではありません😆
遊びもサボりも仕事の内だと思ってます。

首の背中の鱗の配列パターンが怪しいので、明日以降描き直しすると思いますが、今晩はこれでおしまいにして、また明日以降!


2024年2月11日

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

表の下図は墨で描き、裏の隠し絵の骨描きは洋藍で描き、1枚の下図にてそれぞれの下図を同居させようと思います。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

今日あらためて吟味すると、鱗の配列は、首の裏だけでなく下半身も怪しいと思いました。

基準となる背びれだけを、薄く溶いた洋藍にて骨描きします。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

角を鹿の角の写真を参考に描き、首の裏も中心の基準となる背びれのみ薄い洋藍にて骨描きします。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

何度か消して鱗の配列を描き直しますが、丸い胴体に沿った感じになりません。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

プリントアウトしてあった鯉の写真に、

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

鱗の配列具合と、胴体の丸みに沿ったカーブの具合を確認しやすくするため、ロットリングにてクロスさせる補助線を描き込みます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

胴体の丸みを意識しながら配列の補助線を描き直します。

日本画は掛軸や絵巻物にする仕上げを想定し、本来薄塗りで描くものです。

西洋文化の影響から額装しての展示を想定し、次第に西洋画の様に厚塗りになりましたし、自分も藝大の学生時代と卒業後の10年間くらいは、額装での展示のみを想定し厚塗りの日本画を描いてきてました。

ところが、伝統的な日本画の軸装を依頼された時に、厚塗りだったために、しなやかに巻けない絵を描いてきた事を思い知らされました。

それ以来、プロの日本画家として、伝統的な屏風や掛軸の依頼に常に応えられる技術を身に着ける必要を感じ、本画を薄塗りで仕上げるためには、下図段階の修正で妥協しないという、伝統的な日本画の基本の本当の意味に納得がいきました。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

何度も描き直して、納得ゆくガイドラインが描けました。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

洋藍を更に溶かし加え、濃くします。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

濃く溶いた洋藍にて、隠し絵の龍の鱗を描きます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

首の後ろの配列を整えるのも、何度も描き直しました。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

鱗の骨描き完了。

今日の制作は、ここで力尽きました。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

骨描きが乾いたら、練りゴムを転がして、下書きの鉛筆の線や汚れを取ります。

本日最終段階です。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

制作後は、明日以降の資料準備をしました。

映画「ジュラシック・パークⅢ」ではなく、

ドキュメンタリー風に作られたBBC「プラネット・ダイナソー」のブルーレイを再生し、モニターをデジカメで撮影し、

龍の顔の参考に、スピノサウルスの顔をいくつかの角度から撮ったものをプリントアウトして用意しておきました。

写実的で真に迫った作風のクリエイターほど、他者によるリアルな造形物も参考にするものだと思います。

完全に自分が取材した素材だけで制作してる作家もいらっしゃると思いますが、自分の目で直接見ることの出来ない空想の生き物なら、他のクリエイターがいかにもそれらしく造形したものも参考にさせてもらうのは、当たり前の事だと思います。

本当は他のクリエイターの作品も参考にしてるのに、さも自分一人で創作した振りをしてるから、後で類似の作品が見つかった時に「盗作だ!」とか批判されてしまうのだと思います。

社会で生きてる以上、他者からの影響を受けない訳がありません。

僕は、クリエイターの盗作スキャンダルが報じられるたびに、プロのクリエイターとして

いやいや、完コピなら違法行為で犯罪になるけど、創作物に他作品の影響、参照無しに作れるものなど無いと断言致します。

真似、学びは、誰でもやってます。
大切なのは、正直に他作品へのリスペクトを公言し、

決して100%自分だけで創作したものだという嘘や虚勢を張らない、作家としての良心、姿勢こそが大事だと思ってます。


2024年2月13日

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

後脚の下描き

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

前脚の下描き

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

頭部の下描きをスピノサウルスの写真も見ながら描きましたが、しっくりきませんでした。

現状の角度が、頭頂部から見た角度ですが、

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

もう少し横顔の角度の方が、龍っぽい印象を出せそうだと、少し角度を変えてみました。

それに伴い、首を捻る角度も修正しようと思います。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

アクリルガッシュに、ガンボージを少し混ぜて、青い骨描きの線を相殺して隠そうと思います。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

アクリル絵具は乾くと耐水性に固まってしまいますので、ナイロン面相を使います。

いずれにしても、うっかり固まらせてしまわないように、使い終わったら直ぐに洗いますけどね。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

黄色味掛かったホワイトにて青い骨描きを目立たなくすることが出来ました。

下図段階での描き損じと修正は恥ではありません。
むしろこの段階で、納得ゆくまで修正を繰り返すべきだと思ってます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 参考資料

僕が、洋画ではなく日本画を選んだ理由は、複数の理由から総合的に判断したわけですが、

一番の理由は、僕が一番凄いと思い、好きで尊敬してる画家が、この「アレ夕立に」の作者

竹内栖鳳の画集で惚れ込んだからです。

好きな画家、尊敬する画家は、自分の成長と共に多少入れ代わったりしますが、現在も、今後もたぶん一生、僕にとっては世界で一番憧れ続ける画家だと思います。

このページで紹介されてる下図段階の修正の跡に、日本画の場合は、本画に入ってからは、もう迷いがない筆使いをするためにも、下図段階で妥協なく修正すべき事を学ばせて頂きました。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 参考資料

人物画のジャンルだけに限定すれば、
上村松園、鏑木清方など、もっと卓越した技量を持ち、評価の高い画家もいらっしゃると思いますが、

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 参考資料

竹内栖鳳が凄いのは、風景画や花鳥画(動物画)など、何でも描けて、表現も南画風のおおらかな筆致から、西洋画の陰影や遠近法を感じる筆致まで、筆さばきが自在です。

軍鶏を描いた「蹴合い」は、静止した様な表現の多い日本画において、ダイナミックでスピーディーな動きを感じさせます。

嘴や脚はシャープに描きながら、羽ばたく羽は細かい事にこだわらず、即興的に描いてて、それが破綻せず1枚の絵として同居させられてる訳です。

こんな絵が描けるなんて、もう「神」です!

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 参考資料

例えばピカソの「アヴィジョンの娘たち」では、比較的美しく描かれた女性と共に、アフリカの仮面から影響を受けて、その後キュビズムやフォービズムの表現に発展するデフォルメされた女性が同一画面に同居してます。

ピカソの変遷具合を説明するのに好都合な作品で、僕も面白い絵だとは思いますが、1枚の完成作品としては破綻した失敗作だと(僕は)思います。

エスキース(構想段階のスケッチ)の様な不完全な絵だと思います。

もちろんスペイン人なら、
世界で一番優れた芸術家は、ピカソだ!とかガウディだ!とか言って当然だと思いますし、

イタリア人なら
世界で一番優れた芸術家は、ダ・ヴィンチだ!
(または)ミケランジェロだ!って言うのが当然だと思うように、

日本人の僕は
世界で一番優れた芸術家は
俵屋宗達か、運慶、快慶か、北斎か、竹内栖鳳で、
中でも僕自身は竹内栖鳳が一番好き!って思います。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

また薄く溶いた洋藍にて、少しずつ描いていきます。

いきなり輪郭を決める骨描きから始めるのではなく、人物クロッキーの時の様に、薄く隈取り(濃淡で陰影をつけること)をしながら、確信が持てた段階で、濃い色で骨描きを決める手順で進めます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

鱗の隈取りもしていきます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜
日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

後脚のボリュームは、網タイツの描写と同様です。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

竹内栖鳳や、師匠の加山又造先生同様、描く対象を一つに絞らず、何にでも興味を持ち、色々な題材を描く方が面白いし、画家としての表現力が総合的に上がると信じてます。

エロい網タイツの描写も嬉々として取り組み、皮膚の鱗の描写によるボリュームの出し方も自然と会得したという訳です。

訓練、勉強だと思ったらとてもこんな面倒くさい描写する気になりませんよね。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

本日はここまで。


2024年2月17日

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

蛍光ペンで稲妻を描きます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

群青棒を溶かします。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

自宅アトリエから見える富士山を描きます。

富士山は360°いずれの角度からも写真を撮りためてありますが、東浦和の自宅アトリエから昇り龍になってやるぞ!という思いを込めて、この角度から見た富士山を描こうと思います。

蛍光ペンで描いた稲妻を避けて群青を塗っていきます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

下の方は滝を描きます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

洋藍と洋紅とを混ぜて、さっきより濃い群青を溶きます。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

重ねて塗って空を濃くします。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

滝の方も。

日本画家 佐藤宏三 【Hidden Art】「登龍門」THE WAY OF THE DRAGON 下図 昇竜

本日の最終段階です。

ちなみに明るい時、表の絵では、鯉と滝と富士山だけが見えてて、

暗くすると龍と稲妻が現れるという変化にしようと考えてます。

たぶん上野の森美術館での「日本の美術」が終わったあとは、今度は確定申告の帳簿付けの仕事に入ると思いますので、しばらくの期間この状態から進まないと思います。