真菰和紙 水張り
Stretching “Makomo Japanese paper”
新作用に絹本と、真菰和紙とを木枠に張りました。
絹本は、いつもの要領で、ドーサを引くと縦糸が縮むので、縦方向はわざと緩く張りました。
真菰紙は、初めて使います。
和紙の風合いを活かす為、表側からの厚塗りを避けるため、裏彩色が出来るよう、パネルでは無く、木枠に張ってみましたが、結論は失敗でした。
真菰紙(葉の繊維)は、弱く、水分が蒸発して収縮するとき破けて皺が入ってしまいました。
茎の繊維で漉いた真菰紙はもう少し丈夫そうでしたが、葉の繊維で漉いた真菰紙は弱いのが判りました。
本格的な制作に入る前に分かって良かったです。
木枠に糊付けした部分を湿らせ、糊をふやかします。
剥がすとき、何箇所が破いてしまいました。
これは試し描き用の紙として使おうと思います。
質感が面白いのと、神聖な材料なので、なんとかこの紙の性質を知り、使いこなせる様にしたいと思います。
もう一度湿らせ、乾かす事で水張りの時に出来た皺を消そうと思います。
常にトライ&エラーを繰り返し、新たな表現方法を模索していきます。
前回、葉の繊維を漉いた真菰和紙(左)は、水張りの張力に耐えられず端が破れてしまいました。
今度は、茎の繊維を漉いた真菰和紙(右)に、楮で漉いた和紙を裏打ちして再挑戦してみようと思います。
茎製の方が丈夫そうに見えますし、裏打ちすればさらに強度が増すと思います。
真菰和紙そのものが、大阪府泉佐野市の紙漉き
明松(かがり)政二さんの新発明ですし、
それに日本画を描くのも、僕がこの世で初めてだと思いますので、やってみないと分かりません。
ただ、この粗い風合いは、絵肌として利用してみたい魅力があります。
M10号と、P8号と2枚同時進行します。
パネルを置いて、一回り大きなサイズに紙を切り揃えます。
M10号のパネルには既に下貼りしてありましたので、P8号のパネルだけ、下貼り用の新鳥の子紙を切り出します。
新鳥の子紙の裏面全体に、煮糊アク止め安全糊を塗り
パネルを伏せて乗せます
表にひっくり返し、パネル側面にも糊を塗ってから
側面も密着させます。
一晩寝かせ、完全に乾いたら四角に余った紙を切り取ります。
真菰(茎)和紙を、一回り大きなパネルの上に拡げ、裏面に糊をしっかり塗ります。
垂直気味に立て掛けてから、裏打ち紙を水で湿らせて貼り、撫刷毛でしっかり密着させます。
ドーサ引きやパネルへの水張りは、また明日以降。
裏打ちした和紙の糊代部分を水で湿らせ、糊を溶かします。
パネルから剥がしました。
ちなみに昼間はメジャーリーグ中継を観ながら、
夕方からは大相撲中継を観ながらの、ながら作業です。
描き始めて集中すると、TVからの音声は耳に入らなくなりますが、こういう下準備作業の時は、観たい対決場面は見逃しません
ドーサを引きます。
引いた直後は、タオルハンガーの上で乾かし
ある程度乾いたら外に吊るして完全に乾かします。
以前、真菰農家の苗を抜く作業を手伝った時に頂いた真菰です。
何度か張ってた水の水位を下げてしまった事があり、葉の一部は枯らしてしまいましたが、全滅は免れ、頂いた時は40cmくらいだったのが、1メートルくらいまでは成長させられてます。
真菰和紙と生の真菰との一緒の写真です。
昨日、新たにパネルの下貼りをした新鳥の子紙が完全に乾いたので、四角の余った紙を切り取ります。
下貼りを終えたパネルの用意も完了です。
外に干して乾いた真菰和紙の上にパネルを置き、余分な端を切り取ります。
水刷毛(右下)を使って、縦横に格子上に必要最低限の水分を引きます。
水刷毛は、いったん水に浸した後、ボウルの上で(茹でたラーメンの湯切りのように)水を切ると、櫛の様に隙間の開いた刷毛跡になります。
たっぷりの水分を引いてしまうと、その分紙が膨張し、水張り後に乾燥し縮んだ時に、伸縮差が大きくなり、破れるリスクが高まります。
水張りが終わった直後です。
乾燥後も皺が取れない四角以外は、あえて少し皺が残るくらい、緩めに張りました。
完全に乾けばピーンとフラットになるはずです。
完全に乾いたところです。
今回はどこも破れる事なく完璧に水張り出来ました。