「紫陽花屏風」 2010年制作
「紫陽花屏風」4043 x 1818 mm 2010年制作 鎌倉長谷寺蔵
一作目、二作目の「春秋長谷寺屏風」をご注文下さった泉福寺住職から、鎌倉長谷寺山主(住職)にも丸善本店での僕の個展のご案内をして頂き、総本山長谷寺の春秋一双の屏風をご覧頂きました。
その上で鎌倉長谷寺様からも屏風の絵をご依頼頂けました。
ちなみに総本山長谷寺と鎌倉長谷寺とは、共に一本の楠の大木から彫られた二体の十一面観音をそれぞれご本尊とした姉妹寺ですが、江戸時代初めに徳川家康による伽藍修復を期に浄土宗に改宗され、さらに太平洋戦争直後の混乱期に浄土宗からも独立し単立となってるそうです。
この作品もほぼ実景ですが、横長な構図、さらにジグザグの折り目に合わせ、遊歩道の柵や伽藍の位置を定めました。
なお、この後、鎌倉長谷寺の伽藍の梁は、朱色から黒鉄色に塗り替えられましたので、2018年にこの屏風と対になる「紅葉屏風」を納めた後、こちらの屏風の梁の色も黒鉄色に塗り替える加筆を致しました。
「紅葉屏風」 2018年制作
「紅葉屏風」4043 x 1818 mm 2018年制作 鎌倉長谷寺蔵
それまで幸いにして切れ目なく寺院からの制作依頼が来てましたが、この時期、注文が途切れがちになり、お金に困ってました。恥を忍んで鎌倉長谷寺様に新たな絵のご注文を頂けないか御用伺いに参りました。
すると幸運なことに、長谷寺様の方でも、そろそろ前回注文した屏風と対になる屏風を描いてもらおうという話が持ち上がってたタイミングだったそうです。まさに十一面観音様のお導きの様で感謝致しました。
屏風は基本的に二隻一組で一双となります。「紫陽花屏風」を納めた2010年から、8年後に、初夏の長谷寺と対になる晩秋の長谷寺の屏風を納め、これで六曲一双揃ったわけです。
感謝を込めて、庭園を彩る紅葉の隙間から観音堂の屋根がチラッと覗くように描きました。