「七面山への登詣」 2018年制作

2610 x 1600 mm 2018年制作 山梨県早川町 赤沢宿清水屋蔵

「七面山への登詣」2610 x 1600 mm 2018年制作 山梨県早川町 赤沢宿清水屋蔵

赤沢は、久遠寺のある身延山と、敬慎院のある七面山とを結ぶ登詣道の中間にある旅籠の集落です。
毎年お盆の時期に集落を蝋燭で飾る千灯祭が催されてますが、この年はそれに加え「油障子祭」が企画されました。歴史的建造物である清水屋全体を行燈に見立て、障子建具全体を絵画で装うという企画でした。

6人の画家が分担し、赤沢及び早川町ゆかりの画題で仕上げた水墨画と、早川町の子供達との共同制作による染料絵具による彩色画で清水屋を丸ごと装いました。
僕は赤沢の伝統的な仕事「強力(ごうりき)」を画題に選びました。七面山の山道を、強力が久遠寺の法主様を籠で運び、他の信徒達は自力で登詣する場面を描きました。

「七面山への登詣」強力が久遠寺の法主様を籠で運ぶ
【部分】強力が久遠寺の法主様を籠で運ぶ
「七面山への登詣」七面山の山道を登詣する信徒達
【部分】七面山の山道を登詣する信徒達
「七面山への登詣」七面山の山道を登詣する信徒達
【部分】七面山の山道を登詣する信徒達

水墨画を描いた障子紙には100年前は防水のため油を塗ったそうですが、現在の技術で透明なラミネートフィルムでコーティングされました。
昼間はラミネートフィルムの表面が光ってしまい、墨色の深みが浅く感じられましたが、夜間、内側からの光で、まだら状の手漉き和紙を通して観ると、まるで木漏れ日の山道を登詣してるような臨場感が出て、我ながら感動するほどの演出効果が得られました。

「七面山への登詣」夜の様子
「七面山への登詣」夜間行灯全点燈の様子