「明心寺第二世住職 頂相」 2014年制作

1080 x 455 mm 2014年制作 北海道岩見沢市 明心寺蔵

「明心寺第二世住職 頂相」1080 x 455 mm 2014年制作 軸装 北海道岩見沢市 明心寺蔵
「明心寺第二世住職 頂相」1080 x 455 mm 2014年制作 北海道岩見沢市 明心寺蔵

明心寺の現住職は、小、中、高の同級生です。

第一世住職の頂相(ちんそう)は頂相専門の工房に依頼されたそうですが、
「頂相」専門の工房では、最初から用意された幾つかのパターン化されたポーズ、衣装のフォーマットに、故人の遺影を観て、顔ハメ看板の様に肖像画を描きます。
衣装は伝統的な日本画(やまと絵)に倣い、平面的なのに、お顔だけ立体的な遺影を観て描くから、本当に顔ハメ看板の様に違和感が出てしまいます。

そこで幼馴染の日本画家である僕に、先代住職がご健在のうちに顔だけでなく実際ご着用の袈裟と衣を着てポーズを取ったところを直接取材して描いてもらうことに決めたそうです。

お顔だけでなく、衣装も丸ごと立体的な陰影がついてますし、何より実際ご本人にこの衣装、ポーズを取って頂いたのを実際に取材してますから現実味が表現出来たのは必然だったと思います。


日本画家 佐藤宏三
「明心寺第二世住職 頂相」軸装

2023年末、先代住職は93歳にてご逝去されました。

僕が描いた頂相の上に賛(おそらく妙心寺派の高僧の方から)をご揮毫頂けたとのお知らせを受け、株式会社マスミ東京 にお送り頂いて、僕とマスミ東京の社長とで相談しながら表装の為の裂地を選んで軸装の依頼を代行いたしました。

先代住職の衣装と同系色の裂地を組み合わせて、豪華な裂地を使いつつも、一体感と同時に作品の引き立て役として馴染む組み合わせを選びました。


僕は、お顔もご衣装も、お元気なうちにご本人にポーズを決めて貰って、スケッチし、撮影させて頂いたものを丸ごと描いてますので、ポーズもオリジナルですし、お顔とご衣装との違和感も無く一体感があります。

日本画の歴史を見ても、北斎の娘、葛飾応為や、長谷川等伯など、江戸期の絵師も蘭画の遠近法や立体的な陰影を付けた表現をしてますし、明治維新後の竹内栖鳳、横山大観、菱田春草なども西洋画からヒントを得た、輪郭線を取り払った「朦朧体」を採り入れてます。

僕も、尊敬する竹内栖鳳に倣って、日本画に西洋画の陰影や遠近法を採り入れ融合させた作品を描いてきました。写真や映像を見慣れた現代人にとっては、立体的な陰影や遠近感のある絵の方が、リアルで自然に見えると思います。

画面全体が平面的に統一されてれば、それはそれで破綻は無いと思いますが、平面的な衣装の表現と、写真を観て描く立体的な肖像画の組み合わせは、どう観てもチグハグだと思います。

仏画、頂相専門工房にとって、佐藤宏三は業界に革命を起こしかねない要注意画家だと警戒されてます。営業、宣伝妨害もされてます。
佐藤宏三の革新性、技術力を見抜かれた、お目の高い方は、どうか僕に肖像画のご依頼を下さい。