「久遠寺のしだれ桜」 F100号 2013年制作

F100号 1621 x 1303 mm 2013年制作 埼玉県久喜市 常薫寺蔵

「久遠寺のしだれ桜」F100号 1621 x 1303 mm 2013年制作 埼玉県久喜市 常薫寺蔵

日蓮宗の総本山、山梨県身延町の久遠寺の樹齢400年のしだれ桜を描いて欲しいとご依頼を受けました。久遠寺の本堂には師匠 加山又造先生が描いた龍の天井画もあり、ご縁を感じました。

本画が完成したのは2013年でしたが、最初に取材に訪れたのは東日本大震災直後の2011年春でした。しだれ桜が満開を迎える3月末から4月初頭は、まだ関東地方でも計画停電などが実施されてましたので、宿泊を問い合わせた宿坊でも最初は「お客様に不自由をお掛けするかも知れないので」といって断られましたが、「いえ、埼玉県の自宅に居ても計画停電される可能性がありますから、不自由は承知で宿泊させてください」と言って宿泊を許可して頂きました。

満開のピークを逃さない様、現地の宿坊に3泊4日の日程で宿泊しました。
朝のお勤めも体験し、僧侶達が団扇太鼓を叩き「南無妙法蓮華経」と読経しながら境内を参拝する光景も目にすることが出来ました。

シンプルにしだれ桜と祖師堂だけの構図とするか、それとも僧侶達も入れた構図にするか常薫寺の住職に尋ねた上でこの構図に決めました。僧侶達が加わることでより生き生きとした動きや読経が聞こえてきそうな作品に仕上がったと思います。

制作途中の冬に、花で隠れて分かりにくかった祖師堂細部の確認をするため再び取材に訪れました。冬、花も葉も落ちた枯れ枝になると、その奥の伽藍細部が確認しやすくなりますので、伽藍を含む寺院境内の大作を描く時は大抵季節を変えて複数回の取材をしてます。