エロンジョ様 Lady Eronjo
前回制作した Hidden Art「竹取」では、従来品と新製品の試供品の絹本とを2枚同時に描き進めて、使い心地を谷中得応軒の女将さんに報告しました。
今回の新作 Hidden Art でも新製品の絹本を使おうと思い、それを買い求めに得応軒に行きましたら、60cmの長さなら、前回メーカーから頂いてた試供品の残りから取れるからと言って、試供品だからお代は頂きませんとのお申し出。
更に、より薄いタイプの試供品も、制作に使って、また使い心地を知らせて下さいねと言って、もう一枚下さいました。
女将さんのご厚意に恩返しすべく、今回も試供品2タイプを同時に描き進めて、厚めと薄め、両方の描き心地と、Hidden Art としての発光具合の違いを報告させて頂こうと思います。
ここ2年ほどは、Hidden Art を世の中に拡散させるため、戦略的にエロを自粛してきてました。
しかし昨年末に友人アーティスト何名かが出品していた高円寺秘宝館のグループを訪れ、自分自身の恥ずかしい性癖や妄想、欲望など自己開示する事が、表現者として大切な原点だと気づかされ、久々にアホと思われる作品を全力を傾けて制作することにしました。
2025年1月12日
制作準備

薄いタイプの試供品は、一番売れる尺八(約55cm)幅の物を仕入れる事を検討してるとの事で、それを渡されました。
前回はM10号のパネルがハマる幅の木枠を用意しましたが、今回はF10号がハマる木枠に戻そうと思います。

電動ドライバーで金具を外し、角材を一本外し、F10号がハマる木枠に戻しました。

1枚は、当初予定してたM10号、幅約45cmの絹本用の木枠を使いますから、今回は違う構図で、2枚同時制作してみようと思います。
画題は既に決めてありますが、幅広用、細長用それぞれに最適な構図の下図をこれから構想します。

木枠への張り込み完了。
いつもの様に、ドーサを引いた時に、縦糸がより縮むのを見越して、わざと横皺が出来るよう弛ませて張ってます。
やはり左側の薄い絹本の方が透けて見える新聞記事がクリアに見えますね。
裏彩色の蓄光顔料の発光も、より輝度が上がるのが期待出来ます。
不安な点は、果たして薄い支持体が、厚塗りになってしまう蓄光顔料での彩色を支えられるか?って事です。
まぁ、制作し、仕上げてみないと結果は分かりません。
考えるより実行するのみ!です。
2024年 年末より
ドロンジョ ガレージキット

浮世みゆちゃんに、ドロンジョのコスチュームに似せたコスチュームをご用意頂き、新作 Hidden Art「エロンジョ様」のモデルを引き受けて頂きました。
活動の場をドイツ・ベルリンに移し、モデルとしてだけでなく、SOSOSOというユニットでミュージシャン活動もする様になり多忙を極めてる中、年末年始を挟んで一時帰国してるタイミングで、幸運にもモデルを引き受けて下さる機会を得られました!

昨年末、渋谷でのベルリンナイトでのSOSOSOライブの様子。
右側がドイツ人の相方 ロン君で、来日される度、ロン君とも仲良く交流させて頂いてます。

ロン君にツーショット写真を撮って頂きました。

さてさて、昨年末はこちらのDVD、

深キョンのカレンダー、

アニメ版、ドロンジョのガレージキットをそれぞれ通販で購入し、密かに準備に取り掛かってました。
これまでキューティハニーのダイナミックプロ、ゴジラの東宝等に、キャラクター版権使用の許可を取るため事前に問い合わせて、何れも許可が下りませんでした。
正直者、正攻法が報われない昨今です。
なので、今回は無断で、似たキャラクターとして制作に踏み切る事にしました。

ガレージキットは、自分で組み立て塗装します。
模型制作が絵以外では唯一の趣味でしたが、これをやり始めると絵の制作よりも楽しくなって、仕事をしなくなってしまうので、ここ10年くらいは模型制作禁止を自分に課してきてました。
なので久し振りの一時解禁です。

ランナーからニッパーで切り離し、

バリをアートナイフで丁寧に削り取ります。

金ヤスリで削り、

最後は1,500番の紙ヤスリで表面を滑らかにします。

ヌードが透けて見える様にするためには、コスチュームの色が黒だと全然蓄光も発光も出来なくなります。
なので最初はコスチュームのほとんどを明るいピンクで塗装してみました。

ドロンジョはマントも装着してますが、マントを付けると、せっかくのお尻が見えなくなるので、フィギュアでは、マントを装着しませんでした。

実写版ではマントの形が変えられていましたが、
なるほどアニメ版だと、後姿がまるでゴッキーの様だったんですね。
この形は不採用にしようと思いますが、本日みゆちゃんから、マントを透ける様にすれば、お尻も描けるよってナイスアイディアを頂きましたので、エロンジョ様は、お尻側も見える角度で描く選択肢も出てきました。

実写版ヤッターマンはモニター画面を撮影して参考にします。
深キョンのポスターと見比べると、金髪よりも黒髪の方が、肌色がより美しく見えると思ったので、エロンジョ様の時は金髪で、暗くなってヌードと素顔が見える時は黒髪にしようと思いました。
頭髪を暗いシルエットで表現するなら、マスク上部はドロンジョ同様黒の方がいいや!って、コスチュームのカラーリングを変更する事にしました。

マスク上部だけで無く、ブーツと手袋も黒で透けなくした方が、白い肌色とのコントラストがついて、より美しく、よりエロくなると思いました。
これに実写版で採用されてた網タイツも加えたいと思います。

マスク上部の「D」は「E」にしようと思います。

無断で似たキャラクターの絵を描くとなると必ずイチャモンを付けてくる人々が予想されます。
でも、タツノコプロさんや、深田恭子さんから訴えられるなら誠実に対応させて頂きますが、無関係者からの非難は無視させて頂きます。
むしろタツノコプロさんや深キョンさんのお耳に入るくらい炎上してくれたら、Hidden Art の認知が一気に世界中に広まるかもしれません。
せっかく Hidden Art という画期的表現を開発したのに、4年経っても、未だに人気爆発とは至らず、売上も回復してません。
TVも新聞も、展覧会の度に案内状を送ってきましたが、一社足りとも取材に来なくなりました。
芸能界の不祥事や、画家なら盗作などのスキャンダルだけを報道する様になりましたから、それならこちらも業績回復の手段として炎上商法を仕掛けようと考えた訳です。
素人がウケ狙いでやる表現ではなく、廃業の危機を乗り越えるため、経営者として必死の生き残り戦術で、本気で全力を掛けた活動です。
その様な訳ですので、外野の批判には耳を貸しませんので悪しからず。
取材 浮世みゆちゃん

年が明けて、みゆぷるバーでの、SOSOSOのミニライブ披露です。

フォトグラファーの、ぷるぷるちゃんと、みゆちゃんとの「みゆぷるバー」に呼ばれました。
みゆちゃんなら、ドロンジョ風のコスチュームを持っていそうだと思ったので、エロンジョ様のイメージにカラーリングした模型を持参して、次回作のモデルをして頂けないかの相談も持ちかけてました。
手前はみゆちゃんお手製の卵サンドと、
ぷるぷるちゃんお手製のポテサラです!
2025年1月19日

本日、浮世みゆちゃんにアトリエまで来て頂けることになったので、ポーズの参考に実写版を撮影し、プリントアウトしたものを用意しました。
モニター画面を撮影したものですので、コスチュームの質感や細部は不鮮明です。
やはり本物を間近で撮影出来る機会は、作品のクオリティを上げるため必須です!

アニメや実写版では見たことがない様なポーズも沢山撮影させて頂きましたので、ポーズはオリジナリティの高い表現が出来るかもしれません。
ボディコンスーツは明るい色の物も持参頂きましたが、こちらのスーツの色を明るく変換して作画しようと思います。

素晴らしい取材が出来ました!
ドロンジョやキューティハニーはドイツはもちろん、世界中で人気キャラクターだそうですし、みゆちゃんから「エロンジョ様」のほうが、より世界各国に認知されやすい名前だとお墨付きも頂けました♪
今回も本当に貴重なご協力をありがとうございました。
2025年1月22日
下図制作
一昨日、網タイツの網目を描き始めてから、なかなか配列の辻褄が合わないと感じ、モデルの浮世みゆちゃんに、モデルをしてくれた時の網タイツを教えて貰い、Amazonで注文しました。
みゆちゃんが履いてた網タイツは目が細かく、絵にする時は列を間引いて荒目にしようと思ってたので、網目の大きさの異なる4本セットも同時に注文しました。

上の4つが、みゆちゃん着用の網タイツで、
下が、もっと目の大きなものから揃ってるセットです。
自分で履いてみて、セルフタイマーで撮影し、下の右から2番目の目の物を作画の参考にする事にしました。
作画に誠実にこだわると、変態度が増します。
今後、Amazonから「あなたにオススメの商品」として婦人物のセクシー下着を勧められそうですし。

とりあえず1枚目は、僕が取材中に「大サービスポーズ」と命名したポーズで行こうと思います。
2025年1月26日

ブーツの光ったところにマスキング液を塗ります。
ナイロン面相を、石鹸水で洗いながら使います。
乾くと無色透明になって見えなくなりますので、

至近距離から角度を変えて撮影。
マスキング液を塗った部分が光ってます。

洋藍と、洋藍と洋紅とを混ぜた絵具とで下地を塗ります。
いきなり墨を乗せるより、仕上がったときに深みが出ると思います。
下図で、ここまで手間を掛けなくても良さそうですが、本画にした時に狙った効果が出るか、リハーサルする様な感じです。

「エロンジョ様」下図 途中段階
Hidden Art が光って素顔と素肌とを晒す時は、髪は黒髪として光らせないように表現するつもりですので、手袋とブーツとを墨で仕上げる時に、完成後の Hidden Art の見え方をシュミレーションする為に、下図段階では黒髪として仕上げる事になると思います。
2025年1月27日

手袋、ブーツ、髪を濃くしました。
もちろん下図としてもまだ途中です。
2025年1月28日

頭の中で3Dイメージを持って、辻褄を合わせての作画は美大進学予備校にて講師を30年勤めて会得した能力だと思います。
自分が出来るだけでなく、生徒達に分かりやすく指導出来るレベルになって初めて、偶然の感覚ではなく、確信を持てる実力が身につくと思います。
2025年1月31日

Adobe Illustrator に、途中段階の下図写真を小さく配置して、画面の外に消失点を設定し、パースの構成要素を左右それぞれ水平位置の消失点に集約させます。
これは確か、週刊少年ジャンプで連載されてた
森田まさのり先生の漫画入門を、大学院生時代に見て「これ!分かりやすい!」って膝を打った方法だったと思います。

実物大に拡大し、プリントアウトしたものを下図に被せ、間に念紙を挟み、赤ボールペンでなぞってトレースします。

トレースし終わったところです。

背景の楕円をベースに、鉛筆で加筆しながらドクロベエのレリーフなどにしていきます。

画面全体に軽く彩色したところ。
この後、徐々にバランスを観ながら濃くしていこうと思います。

深キョンのカレンダーとも見比べながら、肌の濃淡をつけていきます。
胸片方と顔の大きさがほぼ同サイズ!
ちなみにカレンダーは、各月の写真より、表紙の写真が一番好みでしたので、今後もカレンダーとしては使用せず、表紙のみをポスターの様に貼り続ける事になると思います。

本日の最終段階です。
隠し絵の下図としては、ほぼ完成したと思います。
次の段階は、表の絵柄になるマスクとボディコンスーツの描写に入ります。
2025年2月1日

生ゴムで擦ってマスキング液を剥がしました。
もうすっかり紙に着いてしまって剥がれないところも結構ありましたが、本画の下図としての役割は充分果たせそうです。

別の紙に、マスクとボディコンスーツとを描き、紙の着せ替え遊びの様に被せて、マスキングテープで固定します。
マスクとスーツは蓄光顔料の光をよく通す様に、明るいピンクにします。
貼って確認したところ、ドクロベエレリーフの背景と色調と明るさが似てましたので、エロンジョ様を引き立てるため背景を暗くしようと思います。

壁とソファーとを暗くして、エロンジョ様を明るく引き立てました。
下図完成です!
マスクとスーツとを被せたこの状態が、表の絵柄の下図になります。
剥がせば、隠し絵の下図になります。

絹本を張った木枠に、裏からパイルダーオンさせて、いよいよ明日からの本画制作の準備が整いました。
流石、新製品の中でも更に薄い絹本です。
下図がかなりクリアに透けて見えます。
本画への骨描きがしやすそうです。

昨晩投稿の写真だと、深キョンのボインが充分見えてませんでしたので、今晩はもう少し上にずらして撮影。
絵の存在意義の一つに、現実には起こり得ない夢や理想を表現出来るって事があると思います。
充分な実力を身に着けた中堅プロ画家が、厨二病の様な面を曝け出し、本気で思春期の妄想、願望を叶える表現をする事は、内心拍手喝采して強く支持して下さる方々もいらっしゃると思います。
2025年2月2日
本画制作

骨描きからスタート。

ピンクのコスチュームの骨描きは、洋紅で描きました。
手袋やブーツ等は墨で描きました。

マスキング液で、ハイライト部分をマスキングします。
下図制作の時の紙と違って、絹本なら役目を終えた後、綺麗に剥がれてくれると思います。

手袋とブーツとは、墨で隈取りまで進めます。

濃墨で網タイツを描きます。

拡大写真です。
ただ、縦糸、横糸を碁盤の目に描いてる訳でなく、交差させて編んでる様子をリアルに描いてます。
プロのモデルを頼んだり、自分自身でAmazonで買った網タイツを履いてみたりして、取材段階からリアリティの追求をした部分ですから。
変態も極めれば藝術になると信じてます。
2025年2月3日
今回は、一旦表彩色を先行させてから、蓄光顔料による裏彩色に移る手順で進めます。
Hidden Art 作品は、一点一点違う絵柄ですので、作品ごとに最適な手順を考えて進めてます。

昨日せっかく苦労して描いた網タイツが滲んでしまわない様に、本日の制作に移る前に、明礬入りのドーサを引いて乾かしました。

ブリリアントローズライトを画面全体に塗り、

渇ききらないうちにハイライト部分を小さな平筆で拭い取ります。

乾かした後、画面の反対側から、またドーサを引きます。
ブリリアントローズは定着し難い絵具なんですが、今回はドーサ引きした時も、ほとんど取れませんでした。

下図を描いたパネルを外し、裏から白い紙を差し込み、透かして見たところです。

ガンボージで、金髪と肌色に黄色味を重ねました。

洋藍を主に背景に重ねました。
2025年2月4日

画面の向きを180°回転させ、反対方向からもブリリアントローズライトを塗ります。

ハイライト部分は乾ききらないうちに小さな平筆で拭い取り、逆にもっと赤味を濃くしたいところはブリリアントローズを重ね塗りします。

乾いたら、またドーサを引きます。
昨日塗った絵具が凹凸ある下地になってくれた為か、今日はブリリアントローズの定着がバッチリで、ドーサを引いた時、少しも取れませんでした。
ドーサを入れた絵皿が綺麗でしょ。
裏彩色開始

さて、いよいよ裏彩色に入ります。
マスクとボディコンスーツを剥がし、下図をスキャナーで取り込み、PCで左右反転させた裏彩色用の下図をプリントアウトします。
ボディコンスーツに隠れた網タイツのパターンを少し直したくなり、トレーシングペーパーでアウトラインをトレースし、パターンを修正しながらもう一度骨描きします。
それにしても、左右反転させても深キョンに似せて描いた顔に違和感がなく、美人です。
美人の条件の一つとして、左右対称というのが言われてますが、なるほどと納得しました。

カッターマットの上でトレーシングペーパーに描き直した腹部の網タイツを切り取り、

裏彩色用の下図に貼ります。

プリンターで出力した下図は、水分を含むとインクが溶けて、本画の表面に着いてしまいます。
それを予防する為に、透明なシートを本画の表面に貼り、

透明シートを挟んで、位置を合わせて、裏彩色用の下図を貼ります。
これで下図が濡れて、溶けたインクが本画の表面に着く事を防げます。

裏側に向けます。

胡粉を空摺りし、膠で練って、お湯で溶きます。

溶き終わった胡粉は5分ほど放置してから、上澄みだけをもう1枚用意した絵皿に移します。
溶く時に使った絵皿の底に沈んだ胡粉は、粒子が大きく重かった訳です。
網タイツの様な細部描写には、上澄みに残る超微粒子の胡粉だけを使う必要があります。

ボディコンスーツに隠れた網タイツは、蓄光顔料での彩色前に胡粉で不透明にする事で、夜、光った時にはシルエットとして黒く浮かび上がるという仕掛けです。

拡大写真です。
2025年2月5日

今日は胡粉で髪の毛を塗りました。
昨日の網タイツはシャープに光を塞ごうと思ったので、かなり濃く溶いた胡粉でしたが、
本日は髪の毛の柔らかさを出すために薄く溶いた胡粉を、何度も重ね塗りしました。
乾かしては塗り重ねの繰り返しで、1日の大半をこれに要しました。

胡粉での裏彩色の乾き待ちの時間を利用して、手袋とブーツにも裏彩色で深みを出そうとしましたが…
ここまで塗って、この手順の不味さに気付きました!
表からマスキングしたのに、裏彩色だと、マスキングしたハイライト部分も赤く染まってしまいます。
表彩色開始

表側にひっくり返し、続きは表側から臙脂を塗りました。
マスキングの裏から赤く染まってしまったハイライト部分に関しては、蓄光顔料の表側からの彩色で復活させる事が出来ると思いますので、致命的な失敗では無いと思います。

相対的に肌色を明るく見せるため、背景にも臙脂を重ねました。

ボディコンスーツも臙脂で質感を描いて、今晩の制作はここまで。
2025年2月6日

洋藍をソファーに塗ります。

墨で手袋とブーツとを塗ります。

洋藍と臙脂とを混ぜた紫で、背景のレリーフの陰影や、マスク頭部を彩色します。

ブリリアントローズライトでマスク、スーツを彩色し、ガンボージで金髪を彩色します。
今回は、表彩色を先行させ、大まかなイメージとしては、ほぼ完成です。
絹本の場合は、蓄光顔料での彩色が、裏彩色で出来るため、この手順での制作が可能になる訳です。

本日の最後に明礬入りのドーサを引いて表彩色の色を固め、裏彩色の蓄光顔料に、表の染料が吸い取られない様にします。
これが乾いたら、裏側からもドーサを引いておこうと思います。
2025年2月7日

今日は他の仕事で外出したので、胡粉の重ね塗りと、裏からのドーサ引きのみ。
早く蓄光顔料による裏彩色の仕事に入り、暗くした時の光り(透け)具合を確認してみたいという早る気持ちを抑え、胡粉での光止めのダメ押しをしました。
2025年2月8日
蓄光顔料による裏彩色

いよいよ蓄光顔料による裏彩色開始です。
最初は肌色を緑に光る蓄光顔料から塗り始めます。

ソファーの光ったところは青く光る蓄光顔料、
それ以外の背景全体には群青色に光る蓄光顔料を塗ります。
有効に使える蓄光顔料が、緑、青、群青の青系3色だけなので、この3色の塗り分けが大事になります。
赤や黄色は発光が弱いのと、それより何より硫黄を含んでるようで、筆がボロボロになります。という事は、絹や和紙などの支持体もボロボロに溶かす恐れがありますので作品保護の面から使用不能と判断しました。

表側はこんな感じです。

さて、裏彩色を光らせた画像の投稿前に、
先日、友人で「私たちは消された」展主催者の
扇情カメラマン酒井よし彦さんが投稿してたご提案を試してみようと思います。
Meta の規定では、絵画や彫刻などの芸術作品の写真ならば女性のチ◯ビは認められてると明示されてます。
この写真は酒井さん投稿の写真のコピーです。

チ◯ビが薄くなってました。
僕の好みとして、チ◯ビの色素をあまり濃く表現したくなかったので、胡粉での光止め彩色を、網タイツや髪の毛よりも手加減していたのが原因です。
蓄光顔料の裏彩色をしてみたら、胡粉による隠蔽が不十分だったようで、明るくなりすぎてしまったという訳です。

お湯を含ませた面相筆で乳輪を洗い、蓄光顔料を一旦洗い取ります。
油絵やアクリル画で、Hidden Art が出来るか?と聞かれた事があります。答えはたぶん可能だと思います。
でも、不可逆性の油絵やアクリル画だと、可逆性のある膠の様に洗い取る事が不可能ですので、こんな真似は出来ないと思います。
明礬を入れたドーサで完全に固めない限り、膠は乾いても再び溶かすことが出来ます。
僕の様に塗ったり洗ったりを繰り返し、デリケートな濃淡の調整をする画家にとっては、一見、不完全な接着剤と思われる膠の可逆性が必要不可欠な性質なんです。

洗い終わったところです。
Metaさんへ、繰り返し理っておきますが、これは絵画作品。芸術作品の制作経過の写真ですからね!
消去もペナルティも課さないで下さるようお願い申し上げます。

乳輪部分の光止めのためだけに、胡粉を空摺りします。
日本画を一回でも習った事のある方なら、面倒な日本画の絵具溶きの中でも、胡粉を溶くのが特に面倒くさいと思われた事と思います。
小面積ですので、チューブ入りの顔彩絵具の胡粉で代用しても良さそうですが、後年、チ◯ビ部分だけ剥落なんて事が起こらない様に、他の部分と同様に、軟靭膠素メインでブレンドした佐藤宏三Hidden Art 専用膠で溶いた胡粉で塗り直します。

胡粉で再び乳輪を光止め塗りします。
理想的なチ◯ビの濃淡調整の為に、ここまで手間暇掛けるのは超変態だと思います。
でも、超一流の芸術表現や科学技術というものは、この様な超変態なモチベーションから生まれると、僕は思ってます。
エロい気持ちが無ければ、画家としてここまでこだわった仕事をする様になったか疑問ですから。

再び、蓄光顔料での裏彩色を塗り重ねます。
今日は関東も寒く、アトリエで灯油ストーブを使ってました。
おかげで乾きが早く、今日1日だけで3〜4回、蓄光顔料の塗って、乾かしを繰り返し、仕事がはかどりました。
寒いのは苦手ですが、Hidden Art の制作においては、日が短くて、乾燥した冬がはかどります。

本日の最終段階。
ほぼ完成イメージですが、裏彩色が一段落したら、最終的には表彩色でバランスを整えてから完成させますので、まだ未完成です。

本日の最終段階(暗)。
ブリリアントローズライトを表から塗ったコスチューム部分は、緑に光る蓄光顔料を通しても、赤味が感じられます!
ナメック星人じゃあるまいし、僕だって人肌には赤味が欲しいです。
最終仕上げでは表彩色にて、肌色部分にもブリリアントローズを不自然じゃない程度に塗り重ねようと思います。
2025年2月10日
オパールパウダー

2年前に京都で買ったオパールパウダー
ベリーダンサーの衣装のアクセサリーなど、特殊な用途にしか使えないキラキラした粗い絵具です。
使うのは今回初めてになります。

エロンジョ様のEマークに使います。
かなり粗い絵具なので、ザラザラな下地が乾いたら、また重ね塗りを繰り返して、密度を段々高めていこうと思います。

臙脂と洋藍とを混ぜた紫を背景に更に重ねて、エロンジョ様を明るく引き立てます。

マスクとボディコンスーツの細部を締めます。

オパールパウダーを塗った上からブリリアントローズを重ね塗りします。
粗いオパールパウダーの隙間を、微粒子のブリリアントローズで埋めて、石垣の隙間を小石で埋めるように接着を強化する訳です。

準天然紫黒を溶きます。
濃墨マックスよりも、より深い黒が得られます。

Eマークに明礬入りのドーサを引いて固めます。
それぞれの部分の乾き待ちの間に、他の部分の彩色をしますので、仕事があちこちに飛びます。

洋藍と臙脂とのブレンド、今度は洋藍比率を多めにして、群青に近い紫と、紫黒とで、手袋、ブーツをより濃くメリハリをつけます。

青く光る蓄光顔料を表彩色で、マスキングが上手く効かなかった部分を含め、ハイライト部分を彩色します。

暗くして撮影。
股間にはボカシを入れましたが、SNS対策です。
本物の絵と、公式サイトでの完成画像は無修正で掲載予定ですので、完成後、完全版をご覧になりたい方は、日本画家佐藤宏三公式サイトをご閲覧下さい。

本日の最後は、前回と反対方向からドーサを引きました。
明日以降は、裏側にも何回かに分けてドーサを引くつもりです。
2025年2月11日
パネルへの張替え

裏側からも、明礬入りのドーサを引きたいのですが、木枠に張ってある状態では、木枠の土手に阻まれて、四隅までドーサが引きにくいんです。
今回は洋風な画風ですので、パネルに張り直して額装しようと思います。
ですので、木枠から絹本を剥がしてからドーサを引きます。

絹本と木枠との接着部分を保護してたマスキングテープを剥がします。

四隅を留めてた画鋲も抜いて、連筆で木枠との接着部分を湿らせて糊を溶かします。

木枠から剥がし、タオルの上で耳を乾かします。

下図を剥がし、これから本画を水張りする為の、F10号サイズの木製パネルを用意します。
ちなみに、本画も下図も、ブリリアントローズライト以外は、ほぼ同じ染料系絵具で彩色しましたが、本画には画面全体に発色の強い顔料のブリリアントローズを塗ってるのと、制作中、数回に渡ってドーサ引きをしてますので、本画の発色の方が下図よりかなり濃いのが分かると思います。
ラブホか、ストリップショーのステージの様なケバケバしさが出て、本画の色合いは、この作品の雰囲気に良く合ってると我ながら思います。

木製パネルの下貼りをする為に、新鳥の子紙のロールから切り分けます。
左側は下図制作の用紙を切り取り済で、右側に、もう1枚F10号サイズに水張りする為の糊代幅もピッタリ取れる紙が余ってました。
色々なサイズに描いてますので、こんなにピッタリに、中途半端に紙を余らせずに切り分け出来たのは珍しく、気持ちが良いです。

後年のカビ防止の為、念の為、アルコール消毒スプレーを吹き掛け、自然乾燥させます。

いつも愛用の「煮糊アク止め安全糊」をホーローバットに出し、糊刷毛で塗りやすい濃さにお湯を足して薄めます。

新聞紙の上に、新鳥の子紙を伏せて、裏から全面に糊を塗ります。
新聞の定期購読は止めましたが、梱包材や、こういう用途に古新聞は重宝しますから、古紙回収に出さず、大量に取っておいてあります。

裏全面に糊を塗った紙の上に木製パネルを伏せて貼り付けてから、

正座時の足のしびれ防止用の低い椅子をひっくり返した上に、これまた表側にひっくり返した木製パネルを置きます。

四辺の側面への折り目をつけて、
パネル側面へは接着力を高めるため、もう一度糊を塗ってから側面へ接着していきます。

下貼り完了です。これで完全に乾燥したら本画の水張りの下地になります。
後年、パネルのベニア板からアクが染み出して、本画にダメージを与えない様にする為や、その他、作品にカビが生えたりしないように、現在の僕は様々な事を心掛けて制作してます。
1. 安売りの木製パネルを買わず、信頼出来る画材店で購入したパネルを使う
2. パネル表面のアルコール消毒
3. 煮糊アク止め安全糊を下貼りの紙全面に塗る
4. 下貼りしたパネルの上に本画を水張りする
5.(今回はしなかったが)作品の裏打ちをする
6. 本画制作の膠は、約1時間直火で煮込み、カビ菌を完全消毒した膠を使用する
まだキャリアが浅かった若い頃、高温多湿の釣宿でご購入頂いた拙作が、数年後にパネルから染み出たアクで、染みの斑点が浮き出てしまった事があります。
その時は、全く同じ絵を新たに描き直し、取り替えて責任を取りましたが、その時に、修復も手掛ける表具師の方に、今後のトラブル防止策をアドバイスして頂きました。
目に見えない部分で、どれだけ品質保持の為の手間暇を掛けてるかは、後年にならなければ分かりません。
現在の佐藤宏三の作品は、後年のトラブル防止の為に、二重・三重の手間を惜しまない制作を心掛けてる事を、FBと公式サイトアーカイブで公開してるのは、お客様に信頼してもらうためです。

木枠から剥がした本画の裏に明礬入りのドーサを引きます。
蓄光顔料は膠や糊を吸い込むのに貪欲な性質を持ってる事が分かってきました。
もうお腹いっぱい、これ以上の膠や糊を吸い取る事は無理!ってなるまで膠分を与え、またこれ以上吸い取る事が不可能な様に(おそらく多孔体の)表面を明礬入りのドーサで固める必要がある事が分かってきました。

パネルに張り込む時に側面へ折り込む糊代分だけ残して、余分を切り取ります。

画面を180°回転させて、反対側からもドーサを引きます。
これを入念にしておかないと、将来、もし、額装から剥がして軸装したいという要望が、お客様からあった時、軸装してもらった時の裏打ち紙の糊を、引き続き蓄光顔料が吸い取ってしまうと、裏打ち紙が一部剥がれてしまいます。
Hidden Art 開発した初期の作品の何点かが、表面からは分かりませんが、ほんの少し裏打ち紙が剥がれて浮いてるのを見つけました。
最新作は、この処理をしっかりしてますので、最新作の数点が売れて資金にゆとりが出たら、初期制作の軸装で裏打ちの一部が剥がれた掛軸は、表具店で一旦バラし、裏からのドーサをしっかり引き直した後に、再び表装し直して貰うつもりです。

下貼りしたパネルの四隅にはみ出た紙をカッターで切り取ります。

四隅に余った三角コーナーを全て裁ち落としました。

水刷毛で、裏側から湿り気を与え、

表にひっくり返して位置を合わせ、一辺ずつ、先ずは水張りテープを絹本だけに貼り、本画表面のたるみを掌で伸ばしながら側面に折り込み、水張りテープでパネル側面に糊付けていきます。

四辺全ての張り込みが終わりました。
本画のパネルへの水張り完了です。
実は作品はまだ未完成です。
パネルへの張り込みをした後、最後の微調整をしていきます。
最終微調整

クチナシとクルミとをブレンドして、茶色い煮汁を作ろうと思います。

大まかにはアトリエ中に飛び散らないよう、手拭いで包んだ上からラジオペンチで砕き、
さらに細かく砕くのは手拭いを開いて、充分砕けていない破片を視認しながら、一欠片ずつ丁寧に細かくしていきます。

白いホーロー鍋は、色調が分かりやすくて煮汁作りに重宝してます。
普通に調理器具としても愛用してますが。

さらに、普段使いのコーヒーフィルターで濾します。
料理も絵具作りも、用具が兼用の物が結構あります。
毒性の無い、天然有機物が材料の時は抵抗ありません。
それくらい、画材も食材も、なるべく毒物を摂取しないように吟味してますし、毒物はそれを承知の上で慎重に使用してます。

煮汁だけ見ると、相当濃く見えますが、試し塗りして、一度塗り、二度塗りの場合の濃度を確認します。

多くの日本人の美意識として意識してるか無意識かは両方あるとして「捨て色」の概念があります。
今回は画面全面に、蛍光色と見紛うほど鮮やかなブリリアントローズを塗ってますので、画面全体が、派手なピンクに染まってケバケバしいです。
ラブホかストリップ劇場みたいで、エロい雰囲気が出てて良いと言いましたが、たぶん僕だけでなく、多くの日本人は、全てが派手だと目が休まらなく感じてしまうと思います。
アメコミなどは、キャラクターも背景も全て原色で目がチカチカして長時間読み続けるのは困難に感じます。
「捨て色」という概念は、日本伝統の色使いの文化で、主役や、ワンポイントだけ、鮮やかな色を使い、それ以外は、あえて発色を控え目にするという文化です。
今回は、ある意味狙って鮮やかなピンクに染まった画面構成にしたわけですが、日本人である僕の美意識では、流石に画面全てが派手なのは、目が休まらないと思いましたし、ご購入頂く方が、何国人かは分かりませんが、同胞である日本人の方々の多くからも、一瞬見た時のインパクトだけでなく、部屋に飾って毎日観ても目を疲れさせる事がないような配慮が必要だと思いました。
そこで、鮮やかな青紫色のソファーに、補色の茶色を被せ、少し目に優しい渋みを加えようと思います。
まず一塗り目です。

様子をみて二塗り目を重ねます。

エロンジョ様のアイシャドウや、瞼の下の影を微妙に濃くしました。
瞼の下の影が濃くなると、トロ〜んとした色っぽい眼差しになります。
友人のベリーダンサーが、まだ会社員のアマチュアダンサーだった頃、まるで「セクシー田中さん」の様に、ノーマルメイクの時とショーメイクの時とで、まるで別人でした。
特に目元のツケマやアイシャドウは印象を決めるのに重要な部分だと思います。
なので、画面全体とのバランスも見ながら、最終段階でさらなる微調整をしたわけです。

ソファの光ったところが茶色に傾き過ぎたので、今度は逆に洋藍を薄く被せて色味を相殺しました。
全体の印象は、ピンクに染まったケバケバしさとエロい雰囲気を持たせつつ、さり気なく、目の休まる落ち着いた色調の部分も忍ばせました。
プロの画家は、パッと見で素人が、その違いに気づかない様な微妙な配色のバランスを調整してるものです。
だから、展覧会企画会社が、作家本人に色校を確認させないまま、本物の色味と違った印刷のポストカードや、作品掲載の書籍を出版する事に、業者が思う遥か上の怒りを感じるものなんです。
2025年2月12日

最後にダメ押しのドーサを引きます。

反対側からも引き、これが乾いたら完成です。
落款

落款を入れる場所を決めます。
さすがにブーツで踏まれる位置に入れるのは自虐が過ぎるので、今回は少し上に入れます。

先月末に少なくなってきた金泥を足すために、谷中得応軒さんで二袋買ってました。
二袋合計0.8gで、2万円超え!
金の値上げはものすごいです。
今月からまた値上げすると聞きましたので、先月のうちに買い足しておいて少しはマシでしたが、今後、落款用の絵具としてしか使えない高価過ぎる絵具になってしまったと思いました。

こんな風に梱包されてます。

プロとして開業以来、継ぎ足ししながら使ってきた金泥専用皿。
飲食店の秘伝のタレみたいな感じでしょうか。

膠を加え、

練ります。

お湯を加えて撹拌します。

金泥を新たに溶くと、最初アクが浮きます。
5分くらい放置し、金粉が全て皿の底に沈んだら、慎重に上澄みのアクだけを皿を傾けて捨てます。

アクを捨て終わった後も少し水分が残ります。

電熱器に掛け、残った水分を飛ばします。
この工程を「焼き付け」と呼びます。

再び膠を加えて練りますが、絵皿が熱くなってますので、火傷しないように気をつけながら練ります。

また、お湯を加えて筆で書きやすい程度に薄めますが、金泥は濃く溶かないとゴージャスに発色しませんので、かなりトロ味を保った薄め方にします。
筆も金泥専門の筆を決めてあります。
他の絵具を塗るのに使った筆を使って、わずかでも金泥に不純物が入るのを防ぐためです。

印だけのダミーを押す位置に置き、その上に署名します。

印が真っ直ぐ押せる様に、印矩をセットします。
色んな厚さの文庫本の中から、パネルの厚みとピッタリ同じ厚さの本を隣に置き、印矩がグラつかない様に補佐させます。
印矩のセットが終わったら、ピンセットでダミーの印を取ってから、印を押します。

押した直後は、印泥の油分がテカってます。

天然珊瑚末13番をまぶします。
珊瑚末は絵具としても使えますので、絵具としての珊瑚末は別の袋に入れてあり、こちらは印のパウダー用として専用のケースに入れ、繰り返し使ってます。
まぶした後、ケースに戻すと、これらの珊瑚末は印の油分を含むので、もう二度と日本画の絵具としては使えません。
印の油分を珊瑚末に吸い取らせた後、専用の筆で掃いて再び専用ケースに戻すと、押した印の表面がマットに落ち着きます。
筆も、これ専用の筆には赤マジックで塗って、間違って他の筆を使わないようにしてあります。

使い終わった金泥には熱湯を注ぎ、撹拌して、再び金粉が全て皿底に沈むのを待ってから、上澄みの膠液だけを捨てます。

上澄みを捨て終わった金泥皿は、このまま自然乾燥させて、明日完全に乾燥したら、蓋を被せて埃が絵皿に入らないようにして、次回使う時までアトリエの隅にキープしておきます。

署名の金泥が完全に乾いたら、瑪瑙ベラで表面を擦り、艶を出します。
完成

Hidden Art「エロンジョ様」明 完成

Hidden Art「エロンジョ様」暗ボカシ 完成

顔のアップ 明

顔のアップ 暗

胴体のアップ 明

胴体のアップ 暗ボカシ