「君の縄」F6号

【1日目】

水性色鉛筆の黄土色にて下描き

水性色鉛筆の黄土色にて下描きします。
普通の色鉛筆だと水分を弾いてしまいますので。

蓄光顔料です

蓄光顔料です。
メーカーによって粒子の粗さや発光の強さが異なりますので、色々試しながら描いてます。

縄目描画

一番細かい縄から描いていきます。

蓄光の光具合を確認します。

暗室(トイレですが 笑)に持っていき、光具合を確認します。

蓄光・肌の描写

肌の方にも蓄光顔料を塗っていきます。

初日の最終段階
スマホのカメラは撮影と同時に補正してしまうらしく、かなり明るく写ってますが、実物はまだこの段階では濃淡のムラがあります。


【2日目】

練りゴムで少し薄くします。

水性色鉛筆で描いた輪郭線や陰影を、練りゴムで少し消し薄くします。
隠し絵なので、輪郭線はなるべく透けて見えない様にします。

蓄光顔料を少しずつ塗り重ねながら、濃淡をつけ、ボリュームを出していきます。
隠し絵画の制作は、日が暮れてからアトリエの照明をつけたり消したりを繰り返してやってます。

日中はカーテンの隙間から明かりが差し込んでしまうので、この仕事が出来ません。
最近は昼夜逆転とまでは行かないものの、完全に夜型にズレてます。健康には良くありません(笑)。

かなり明るくなりました。

背景を群青色に光る別の蓄光顔料で塗ります。

次に背景を、群青色に光る別の蓄光顔料で塗ります。

一塗り目は、照明をつけて明るい中で塗ります。
ニ塗り目からは照明を消して、蓄光顔料の光の濃淡を観察しながら調整していきます。

真っ暗なアトリエで、夜な夜な変態画家が制作してる姿をご想像下さい。

二日目最終段階

2日目の最終段階
群青色に光る蓄光顔料を塗って、乾き待ちの間に撮影しています。


【3日目】

赤い蓄光顔料も塗ります。

赤い蓄光顔料も塗ります。
スマホカメラだとかなり高感度に増幅されていますが、赤い蓄光顔料の発色は、緑に比べかなり弱いです。
なので、どうしても肌色は緑が勝った仕上がりになります。

肌全体にぬっても、下地の緑色に敵いません。

肌全体にぬっても、下地の緑色に敵いません。

左が同じ種類の面相筆、右が赤い蓄光顔料を塗るのに使ってダメージを受けた筆です。

ちなみに、赤い蓄光顔料には硫黄を含んでいますので、一回使う度に筆の毛が溶け、抜けてしまいます。
左が同じ種類の面相筆、右が赤い蓄光顔料を塗るのに使ってダメージを受けた筆です。

初めて赤い蓄光顔料を膠で練った時には、中指を火傷した様な感じになりました(笑)。
取り扱い注意の絵具です!


【4日目】

蓄光顔料が盛り上がっています。

蓄光顔料を塗った部分がかなり盛り上がってます。

角材に紙ヤスリを巻きつけ擦ります。

角材に紙ヤスリを巻きつけ擦ります。

発光確認

暗いトイレに持ち込み、ある程度蓄光顔料を削り落としてもちゃんと光るか確認します。

削り取った蓄光顔料も集めて次回再利用します。

削り取った蓄光顔料も集めて次回再利用します。
エコでしょ!

蓄光顔料を塗って無い部分に水晶末11番を塗って、画面の絵具の厚みを平均化します。

蓄光顔料を塗って無い部分に水晶末11番を塗って、画面の絵具の厚みを平均化します。

むしろ水晶末を塗ったところの方が盛り上がりました。

むしろ水晶末を塗ったところの方が盛り上がりました。

再び紙ヤスリで擦り、画面をフラットにします。

再び紙ヤスリで擦り、画面をフラットにします。

今度は水晶末 白(びゃく)番を溶きます。

今度は水晶末 白(びゃく)番を溶きます。

連筆で画面全体に塗ります。

連筆で画面全体に塗ります。

いったん乾いたら、画面を逆さまにして逆方向からも塗ります。

いったん乾いたら、画面を逆さまにして逆方向からも塗ります。

2回重ねたらだいぶ下の絵が隠れてきましたが、まだ薄っすらと見えてます。

2回重ねたらだいぶ下の絵が隠れてきましたが、まだ薄っすらと見えてます。

今度は小さい連筆で、色が透けて見えるところを狙って水晶末を被せます。

今度は小さい連筆で、色が透けて見えるところを狙って水晶末を被せます。

また暗いトイレに持ち込んで、水晶末を塗り重ねてもちゃんと下の絵が光る事を確認します。

また暗いトイレに持ち込んで、水晶末を塗り重ねてもちゃんと下の絵が光る事を確認します。
水晶末を塗って乾かしを繰り返して、下の絵が明るい照明下ではほとんど見えなくなったら第二層までの仕事が完了です。


【5日目】

若干透けて見えるので、

今朝の状態。
若干透けて見えるので、

また水晶末 白(びゃく)番を塗り被せました。 乾けば白くなります。

また水晶末 白(びゃく)番を塗り被せました。
乾けば白くなります。

だいぶ下の絵柄が見えにくくなりましたので、いよいよ第三層、つまり表層の制作に入ります。

乾いた状態。
だいぶ下の絵柄が見えにくくなりましたので、いよいよ第三層、つまり表層の制作に入ります。

あらかじめ用意してあった大下図から、念紙を挟んでトレースし、仕上げは鉛筆で輪郭線をはっきりさせました。

表層の絵柄は、最下層の絵柄にも多少影響を与えますので、最下層の絵柄との相性を考慮し、同時に下図を考案してありました。
あらかじめ用意してあった大下図から、念紙を挟んでトレースし、仕上げは鉛筆で輪郭線をはっきりさせました。

クサカベの場合はラベルに、透明色、半透明色、不透明色と、日本語で表示されてますので透明色の色だけを選んで彩色します。

透明水彩の中でも、更に透明度には違いがあります。
クサカベの場合はラベルに、透明色、半透明色、不透明色と、日本語で表示されてますので透明色の色だけを選んで彩色します。

目が三白眼気味で、個人的な好みでは無かったので直します。

途中段階。
目が三白眼気味で、個人的な好みでは無かったので直します(笑)。
三白眼の意味を知らない方は、ググってください(笑)。

かなり明快な描写になりました。さて、照明を落とすとどの様に見えるでしょうか?

かなり明快な描写になりました。
さて、照明を落とすとどの様に見えるでしょうか?

表層の絵が濃すぎたようです。

表層の絵が濃すぎたようです。
太ももの内側に表層の手がはっきり透けて見えます。
これはこれでなんかエロくて悪くありませんが、緊縛師の有末先生の肩の上に、表層のモデルの頭がかなり濃く浮かんでるのが気になります。

表層の絵を洗って薄くします。

表層の絵を洗って薄くします。

洗った状態で照明を落としてみたら、だいぶ表層の絵の影響は見えにくくなりました。

洗った状態で照明を落としてみたら、だいぶ表層の絵の影響は見えにくくなりました。
やはり、Hidden Art の場合は、表層の絵はかなり淡く表現する必要があります。

洗って乾かしてるところです。 明日乾いた状態から、洗い落とし過ぎた部分の描写を加えれば直ぐ完成しそうです。

これが本日の最終段階です。
この作品は表層も既にエロティックです(笑)。
ヌード作品を堂々と飾れる方にお買上げ頂きたいです。

洗って乾かしてるところです。
明日乾いた状態から、洗い落とし過ぎた部分の描写を加えれば直ぐ完成しそうです。


【6日目】

Hidden Art 「君の縄」F6号 完成しました。

蓄光顔料に充分紫外線を吸収させ、消灯後の発光を最大限発揮させる為、表層の絵は透明水彩で淡く彩色してます。

通常照明下ではこの様に見えます。
蓄光顔料に充分紫外線を吸収させ、消灯後の発光を最大限発揮させる為、表層の絵は透明水彩で淡く彩色してます。

消灯直後は、赤い蓄光顔料の発光も見られますが、ものの3秒ほどで赤い残光はみるみる弱まります。

消灯直後は、赤い蓄光顔料の発光も見られますが、ものの3秒ほどで赤い残光はみるみる弱まります。

緑が輝度も残光時間も長く、 群青は、輝度こそ緑に敵いませんが、残光時間は一番長く、消灯後2時間ほど発光し続けます。

緑が輝度も残光時間も長く、
群青は、輝度こそ緑に敵いませんが、残光時間は一番長く、消灯後2時間ほど発光し続けます。


今回は有末剛先生の本とDVDを元ネタに描いています。
生有末先生と生モデルで取材させて頂く事もありますが、エロティックな題材の場合は、さすがに毎回生を取材出来ませんので(笑)。

後から盗作とか言いがかりをつけられない様にする為、僕は引用元をあらかじめ明かしておきます。

盗作だと言いがかりをつけられてきた他の作家さん達も、正直に「ここから引用してます」って先に明かしておけば言いがかりをかわせたのにって思います。

参考資料を明かせば、元ネタの宣伝にもなると思うのでウィンウィンにこそなれ、ご迷惑にはならないと思いますし。